パータ・ビスキュイの呼称は広義にはスポンジ生地全体の総称でもあるため、共立法で作った生地もビスキュイの名で呼ばれることもあります。しかし、パータ・ジェノワーズはパータ・ビスキュイ・ジェノワーズ pate a biscuit genoise となり、「ジェノヴァ風のビスキュイ生地」を意味する。全卵と砂糖の合わさった生地の中に小麦粉が分散し、その内部に直接細かい気泡が形成されている。全卵を溶いたものに砂糖を加えたものをリュバン状と呼ばれる白くふんわりとした状態まで泡立て、これに小麦粉を加えて焼き上げる。
別立法の単なるビスキュイ生地と比べると、強力な起泡力を持つ卵白でメレンゲを作らないので生地に含まれる気泡の量は少なく、また別立法で作るよりも力と時間を要するが、生地の肌理は細かく、しっとりとした仕上がりが得られる。
焼く前にはやわらかく流動性が高いので、絞り出しではなく型などに流し込んで焼く。全卵を泡立てたものより、油脂によって不安定になる傾向が強いメレンゲを使わないので、バターを添加してこくのある風味を出しやすく、通常生地の調整の最後に溶かしバターを混ぜ込み、泡立てた全卵の気泡が壊れる前にすばやく焼き上げる。バターを加えた生地は厳密にはビスキュイ・オ・ブールと呼ぶが、先述のとおり通常共立法のパータ・ジェノワーズで作るため、単にパータ・ジェノワーズといえばバターを加えた共立法スポンジ生地を指すのが通例である。
