紀元前1175年、エジプトのラムセス3世の墓には、製パン施設と思われる壁画があり、パンとともに渦巻き状の揚げ菓子と思われるものが描かれています。副葬品として、食物を作る人々の像や食物も出土しており、それらの研究から当時14種類の菓子があったとも推測されています。
紀元前2000年頃に地中海で成立したエーゲ文明は、アジアの文物を媒介し、その後のミケーネ文明をさらに引き継いだギリシア時代には、誕生日を祝う現代のバースデーケーキにあたるものなど100種を数える菓子が存在したとも言われています。
紀元前二世紀頃からは、バターやチーズの製造にも工夫が重ねられ、獣脂やガチョウなどの卵も菓子製造に利用されるなど、現在の菓子作りの基本となる食材が揃い始めた時代でもあったのです。
文明の勃興期、穀物を製粉加工する粉食は世界各地で起こったとも考えられています。ユーラシア大陸の各地で派生した文化が成熟し、ギリシアとペルシアの争いも含めて、様々な形で交わっていく過程で、菓子はさらに多様化し広まっていきました。
現代のアラブ諸国に見られる揚げ菓子も、ギリシアで婚礼菓子として用いられていた蜂蜜入りの揚げ菓子が由来であると考えられています。
今やあって当たり前の菓子ですが、人類の歴史と一緒に発展する過程は、興味深いです。
