【ワシントン=渡辺浩生】米国に前代未聞の卵パニックが広がっている。サルモネラ菌汚染の疑いで、アイオワ州の業者が約5億5千万個の卵の自主回収に乗り出した。米食品医薬品局(FDA)が調査に着手し、回収はさらに拡大する見込みだ。ゆるい安全規制のもと、少数の大規模業者が独占する米食品業界の体質が汚染拡大の背景にあるとされる。皮肉なことに、今回の問題は、オバマ政権が「食の安全」の向上へ規制強化に着手しようとした矢先に生じた。
汚染卵はアイオワ州の2業者で生産され、24の異なるブランドで22州で販売されていた。疾病対策センター(CDC)によると、5月1日以降、サルモネラ菌が原因とみられる食中毒患者は約2千人に上る。
現行法では業者に回収を命じる権限はFDAにはなく、回収は自主的なもの。ハンブルク局長は23日、「どのように汚染が広がり、消費者を保護するためにどの程度の自主回収が必要か、はっきり分かっていない」と述べた。米国では日本と異なり、生卵を食べる習慣はないが、FDAは半熟卵も避けて完全に調理するよう消費者に呼びかけている。
業界団体「ユナイテッド・エッグ・プロデューサーズ」によると、全米の産卵鶏の95%は192の大規模業者に集中し、1987年の2500業者から大幅に減少している。
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